E.G. のロンドン Battersea Bridge


Thames川をまたいで Battersea と Chelsea をつなぐ橋。E.G. は、この橋が強度が十分でなく馬車の通行には耐えないものの、なお歩行者用として役目を果たしているのをいとおしみ、渡るたびに、この木造の遺物がまだ生き長らえているのに満足感を覚えると記している。
 記録には、1766年にこの地に橋をかけることを許された Spencer 伯が17人の出資者とともに1771-2年に19のスパンをもつ橋として建設、当時は橋脚の間が狭く、しばしば航行する船が橋に衝突し多くの溺死者を出すなど、きわめて評判が悪かったとある。その後何度かの改良を経て存続しつつも、1858年の Victoria橋の開通で通行料に減収をきたし、後に市当局に購入され、このスケッチが描かれた翌年(1885)には仮橋が架けられ、1890年には今日の5スパンの鋳鉄橋に架け替えられた。
 スケッチは満潮時を描いたものだが、James Whistler の油彩 "Nocturne: Blue and Gold - Old Battersea Bridge"と見比べると、干満の差の大きさに驚く。