2005-01-01から1年間の記事一覧

スコットランドの思い出 The Kyles of Bute

銭湯風をもう2枚。SSの1ページにはこんな感じに2枚の絵が掲載されている。

スコットランドの思い出 Loch Lomond

Ernest George の London はしばらく休載して、Souvenir of Scotland (T. Nelson & Sons 1891年初版, London, Edinburgh and New-York) からスコットランドの風景をご紹介しよう。同書はこのようなスコットランド各地の風景を描いたはがき大の多色石版画を12…

E.G. のロンドン Millbank, Westminster

背景にWestminster Palace を望む Thames の河岸。Westminster Palace はもちろん今日の(そして当時も)英国の国会議事堂。有名なBig Ben を収める時計塔(Clock Tower) が右に、左には Victoria Tower がそびえる。E.G. は前景を力強い線で、背景を繊細な線で…

E.G. のロンドン St. John's Gate, Clerkenwell

London に今も残る gateway のひとつ。同じ場所の1830年頃のスケッチ:http://www.londonancestor.com/views/vl-stjohnsgate.htm

E.G. のロンドン Battersea Bridge

Thames川をまたいで Battersea と Chelsea をつなぐ橋。E.G. は、この橋が強度が十分でなく馬車の通行には耐えないものの、なお歩行者用として役目を果たしているのをいとおしみ、渡るたびに、この木造の遺物がまだ生き長らえているのに満足感を覚えると記し…

E.G. のロンドン Bertholomew Close

ロンドン中心部に近い Smithfield 地区の一角。光と影の対比が閑けさを映し出している。路地の行き止まりは右手に見える教会の附属墓地。 かすかに描かれた人物は建物に溶け込みすでにその一部になってしまったかのようだ。

E.G. のロンドン St. Giles, Cripplegate

セント・ジャイルズ教会。Oliver Cromwell が Elizabeth Bourchier との結婚式(1620年)を挙げた教会、また、詩人 John Milton が埋葬(1674年)されている場所として知られる。かつてこの地に市門があり、教会はそのすぐ外側に建てられた。たびたび火災にあった…

E.G. のロンドン Crown Court, Pall Mall

Court とはやや幅の広い路地のこと。Crown Court と名づけられた路地は London にたくさんあったらしい。E.G. が描いたのは Pall Mall (ペルメル)から入るもの。この路地が同じ名前で現代に残っているかどうかは、調べてみたがよくわからない。この近くに現…

E.G. のロンドン Foubert's Place, Regent Street

細い路地の入り口には魚屋、その庇の上には EASY SHAVING の下げ札、さらに奥には ROWDEN'S HAIR CUTTING ROOMS と書かれた看板をあげた建物。混沌としたロンドンの街角の風景。

E.G. のロンドン Harbour Master, Limehouse

Etchings of Old London の3葉目の作品。(これに先立つ2作品はすでに紹介した:http://d.hatena.ne.jp/old_tallinn/20050405 http://d.hatena.ne.jp/old_tallinn/20050331) Harbour Master とは辞書によれば「港長」すなわち港湾管理の責任者。ここでは、作…

E.G. の London 表紙から

これからしばらくお付き合い願うE.G.のロンドンのスケッチはこの本のスキャンから。 Etchings of Old London by Ernest George with Descriptive Letterpress by the Author. London: The Fine Art Society, New Bond Street 1884. Folio 27.5 x 38 cm. 本書…

種明かし

E.G.のモーゼルのスケッチは下の書籍からスキャン。写真はその表紙。書体がおもしろい。 Etchings on the Mosel with Descriptive Letterpress by Ernest George, Architect. London: John Murray, Albemarle Street. 1873. Folio 27.5 x 38 cm.

E.G. のモーゼル 旅の終わり

母なるモーゼルはここCoblenzで父なるライン(Rhein)に合流する。E.G.が旅の終着点で描いたのは、ペンキの色も新しいホテルが軒を連ね着飾った観光客が煩わしいラインの岸辺とは対照的に、荷物の上げ下ろしに忙しい艀でにぎわうモーゼルの河岸。スケッチに描…

E.G. のモーゼル エーレンブルク城

E.G.の旅も終わりに近い。E.G.はモーゼルの支流エーレンバッハの流れに沿ってEhrenburg城を目指す。渓谷を見下ろす急峻な岩山の頂は静寂につつまれ、遙か眼下の水車の音もほとんど届いてはこない、とE.G.は記している。これまでの作品と異なり、このスケッチ…

E.G. のモーゼル アルケン

岩山に守られたAlkenの町の風景。川に張り渡されたものはまさか無線通信のアンテナでないだろう。では、なにか? 両岸に塔を築き、頑丈な綱か鎖を張り渡す。そこからロープを垂らし、船にくくりつける。舵の操作で舳先を流れに対して傾けると、流れに押され…

E.G. のモーゼル モーゼルケルン

エルツ川とモーゼルの合流点にある豊かな町、Moselkerne。壁面の幅いっぱいに窓をもうけた農家。切り妻の頂部にはこの地方に特徴的な、屋根裏部屋の窓を覆う庇が見える。

E.G. のモーゼル ミュンスター・マイフェルト

EGの旅のつづき。モーゼルを離れElz城からさらに4マイル、Munster-Maifeldの町へ。鉄道からも街道からも遠く離れたこの町に、古い民家の姿を求めるEGの期待はまたしても裏切られたようだ。火災によって破壊され、再建された町にようやく見つけた昔の面影を残…

E.G. のロンドン ビショップスゲイト

Etchings of Old London巻頭の1枚。末は酒場となりやがて取り壊された、エリザベス朝の豪商Sir Paul Pindarの館の名残。下記に、Tho. H. Shepherd による視点をかえた同じ場所のスケッチを見ることができる。 http://www.londonancestor.com/views/vb-pindar…

E.G. のロンドン オックスフォード・マーケット

Etchings of Old Londonのなかでわたしにとって最も興味深い建物のひとつがこのOxford Market。大きな屋根に明り取り窓(ドーマー)が並び、煙突がいくつも突き出ている。このスケッチは版上にあるとおり1880年のものだが、本が刊行された1884年にはすでに取り…

アーネスト・ジョージのロンドン

Cardenを後にしたE.G.はモーゼルをさらに下り、すでに紹介したエルツ城(http://d.hatena.ne.jp/old_tallinn/20050115)に向かうが、モーゼルの旅に飽きた方もおられることだろう。そんな方のために、彼が1884年に刊行した、Etchings of Old Londonからの1葉W…

E.G. のモーゼル カルデン

コッヘムの下流に位置するCardenの風景。赤い砂岩を使って建てられた、ライン地方の宗教建築に広く見られるロマネスク様式の家。傾斜の強い切妻屋根、大きな円塔や隅の小塔(turret)が建物の外観に変化を与えている。中央の円筒は螺旋階段を収めるとE.G.は報…

E.G. のモーゼル コッヘム

Bernkastelからさらにモーゼルを下ると、Cochem(コッヘム)の町がある。ルイ14世の時代にフランスの執拗な攻撃により破壊され、昔日の面影はわずかに周辺部に残るのみとE.G.はノートに記す。スケッチは、町の入口近く河岸の岩を土台として立てられた古い家々…

E.G. のモーゼル クース

Cus(クース)のひなびた村道.遠くに対岸ベルンカステルの城砦が見える.

E.G. のモーゼル ベルンカステル

トリアを発ったE.G.はモーゼル中流の町Berncastel(=Bernkaster、ベルンカステル)にいたる.今日この町は対岸のCus(=Kues)とひとつになり、Bernkastel-Kues(ベルンカステル-クース)として知られる.小さな町だが、当時は、頂部が小塔によって複雑な形を…

E.G. のモーゼル トリア(つづき)

E.G.の描いたもうひとつのトリアの風景. 中央の建物は Mosel Baden と呼ばれた(ローマ遺跡ではない)浴場. 左は修道院跡、そして右奥にモーゼルをわたる橋が見える. これより下流でモーゼル両岸をつなぐ橋はKoblenz(コブレンツ)までない、とE.G.は記している.…

E.G. のモーゼル トリア

Ernest Georgeの旅に戻る.E.G.は、平板な街と化したThionvilleに失望し、 Trier(トリア)にいたる.有名なポルタ・ネグラ(Porta Negra, 黒い門)や円形劇場、浴場跡など古代ローマ遺跡に富むドイツ最古の都市として知られるこの街で、E.G.がスケッチに残…

ターナーの版画 つづき

先に紹介したターナーの版画の細部.波間を舞う海鳥が鋼版ならではの細密さで描かれている.『フランスの川景色』に収録された絵の大きさはすべて14x10 cm 程度(ほぼ、はがき大)だが、いずれも当時の彫版師の技量を余すところなく伝えている.

ターナーの版画

ターナー(J.M.W Turner) の『フランスの川景色』からの1葉.ターナーのスケッチを元に彫版師が鋼版画に起こしている.今日のように写真を使った複製技術がない時代には、木版や石版や銅版といった版画が画集や図鑑など挿絵を含む書物の出版に盛んに使用さ…

E.G. のモーゼル メッツ(つづき)

E.G. によるもう1枚の Metz の風景.E.G. はモーゼルを描くに当たって Metz の上流に位置する Toul(トゥール)を出発点としなかった理由を、同市は絵画的特質に欠け、またモーゼルが市街を離れて流れているゆえとしている.Metz においてはこの絵の示すよう…

E.G. のモーゼル メッツ

前回、前々回とE.G.のモーゼルの旅のハイライトとも言うべきエルツ城を描いた版画を紹介したので、今回は旅の出発点となったMetz(メッツ:フランス、モーゼル県)の風景を描いた1枚をお見せしよう.描かれた建物の絵としての面白さ、それはそれとして、わたし…